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1PN由来はどんな胚?

1PN

受精結果には、「〇個受精していました」のほかにも、「1PN」や「3PN」という言葉を耳にすると思います。

今回は受精確認の方法と異常受精についてお話しします。

前核形成と融合

精子の中には父親由来の遺伝子情報が詰まっている「雄性核」があり、卵子には母親由来の遺伝子情報が詰まった「雌性核」があります。
この二つの核が融合する事で、二人の遺伝子を引き継ぐ新しい命が生まれます。

下の図は、2つの核が融合する様子です。

① 採卵当日に体外受精または顕微授精を行います。
② 核は通常時は光学顕微鏡では確認できませんが、受精後およそ16-18時間後の「前核期」と
  呼ばれる時期には、卵子の真ん中あたりに薄くくぼんだような丸い前核を観察することがで
  きます。
③ 二つの前核は、お互いに近寄り前核同士が融合します。このとき、前核同士が重なって見え
  る事があります。
④ 前核は、融合すると見えなくなり、受精前のような状態になります。

受精確認のタイミングがずれて④の状態になると、受精したかどうかの判断が困難になります。そんな時、もう一つのヒントになるのが、極体の有無です。

①では小さい丸が1つですが、受精後の②では2つありますね。

極体は、前核が消失しても残りますので、前核が確認できない場合には、極体が1つまたは2つという記録を行います。

前核は確認できなかったものの、極体が2つある時は受精している可能性があるということですね!

PNとは?

PNとは「前核」の事です。

正常受精の場合は、前核が2つ見えるので、「2PN」となります。

1PNは?

1PNは前核が1つだけ見えている状態です。

受精せず、卵子の核だけが成長する「単為発生」と呼ばれる現象が考えられます。

実はそれだけではなく、1PNにはそのほかにも前核形成の図③のように、前核同士が重なって1PNに見えている可能性があります。

単為発生でも分割期胚まで成長することから、どちらであるかを見分ける事は困難です。そこでこれまでの報告から、受精方法により1PNの取り扱いを決定する施設が多いです。

1PNの取り扱い

1PNは受精方法に応じて以下のような取り扱いを行います。

  • 体外受精の場合→移植可能
  • 顕微授精の場合→胚移植不可

体外受精の場合、卵ごとに精子と出会うタイミング(受精)が異なることから、観察時に1PNであっても染色体正常(2倍体)である可能性が高いと言われています。

一方、顕微授精の場合は授精時間が明確な上、実際に調べてみると体外受精に比べて単為発生(1倍体)である頻度が高いという報告があるため、移植できないという判断になります。

 
従来の報告から、このような取り扱いを行っている施設が多いものの、近年では
胚盤胞形成には、精子由来の遺伝子が必要である」という事がわかり、顕微授精由来の1PNでも胚盤胞になれば問題ないと考える施設もあります。

3PN

前核が3つ見える「3PN」は受精方法に関わらず移植は行いません。

3PNの取り扱い

上記の図のように体外受精の場合は、精子が複数個存在する「多精子受精」が考えられます。

顕微授精の場合、精子を1つしか注入しない事から、極体として放出されるはずの卵子由来の核が残ってしまっている可能性が大きくなります。

特に、多精子受精の場合、絨毛だけが異常な増殖を起こす「胞状奇胎」の原因になる事がありますので培養から外します。

まとめ

1PNをまとめると、

  • 単為発生の可能性
  • 観察時に2つの前核が融合している状態
  • 精子側と卵子側で前核の出るタイミングがづれている状態

という事になります。

1PN胚は、体外受精の場合は移植可能ですが、顕微授精では培養対象から外します。

また近年の報告より、1PNでも胚盤胞移植であれば安心して胚移植ができそうですね。

1PN
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