卵孵化補助術(Assisted Hatching)を一言でいうと
「透明帯に穴を開けて孵化しやすくすること」
胚が成長し着床する過程で大切なのは、胚が透明帯から出てくることです。
殻に守られて成長していたヒヨコが自分の力で殻を突き破り出てくるように、ヒトの胚も自分の力で殻(透明帯)を突き破る(孵化)必要があります。 透明帯を破り中の細胞が出てくることでお母さんの内膜に着床することができます。 自然妊娠の場合、胚の成長とともに透明帯が薄くなっていき孵化が起こるのですが、 「凍結融解操作を行うと透明帯が固くなると言われています。 主役である胚が殻に閉じこもったまま出てきてくれなければいい結果にはなりません。
孵化(ハッチング)をお手伝い(アシスト)をするのが「卵孵化補助術(アシストハッチング)」です。
方法
卵孵化補助術の方法としては、
- レーザーを照射するレーザー法
- ガラス針を使って直接切り込みを入れる透明帯切開法
- 薬剤で透明帯を溶かす酸性タイロード法
現在最も多く行われている方法はレーザー法です。
レーザー法は安全性が非常に高く、操作時間も短いので胚への影響が一番少ないといわれています。 胚盤胞期胚では透明帯にしっかりと穴を開けますが、分割期胚では穴を開けずに透明帯を薄くします。
分割期の段階では、まだ細胞同士が接着していないので、 穴をあけることにより細胞がバラバラになってしまう可能性ります。なので、 穴は開けずに透明帯を薄くすることによって胚盤胞に成長した時に孵化しやすいようにします。
適応は?
クリニックの方針により異なりますが主な適用としては
- 凍結融解胚移植の場合
- 年齢が35歳以上の方
- 透明帯が厚い場合
となっています。
「凍結融解」という人工的操作において透明帯が固くなる事はよく言われており、年齢が高くなると透明帯が肥厚化したり固くなることも知られています。
このほかにも、IVM胚にも積極的に卵孵化補助術を施工します。
費用は?
1~3万円程度です。
二段階胚移植など、同一周期の場合は安くなる施設もあります。
融解胚移植の場合、凍結時にしっかり孵化しているのであれば必要ないように感じます。