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ちゃんと出てるのに一匹もいないなんて…無精子症と診断されたら

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不妊治療を受けようと相談に行くと、まず初めに精液検査を行います。

精液検査の詳しい情報はこちらのページをどうぞ→~精液検査編~

その診断の中に、「無精子症」という診断結果を受けることがあります。「無精子症」とは精液中に精子が全く確認できない状態の事です。日本人男性のおよそ100人に1人が無精子症という報告があります。

30代までにガンになる確率は1000人に1人と言われており、無精子症と診断せれる確率は意外に多いように感じます。

まさか精液の中に精子が存在していないなんて思いもしませんよね。精液が出ない「無精液症」と異なり、しっかり精液が出るので自覚症状がない場合がほとんどです。

見た目では判断できなく普段精液を見ている私たちでさえ、肉眼では精子がいるか判断出来ないので、顕微鏡を用いずに自覚する事はとても困難な事だと思います。

今回は無精子症の原因と診断された場合の対処法についてです。

無精子症の種類

無精子症は大きく非閉塞性無精子症閉塞性無精子症の2つに分けられます。

非閉塞性無精子症

この場合、精子を作る造成機能に問題があり、クラインフェルター症候群のような染色体の異常もこれに含まれます。無精子症のおよそ8割以上が非閉塞性無精子症といわれています。

これは、精巣に精子をつくる機能自体が無い場合や、著しく低下している状態です。遺伝子や染色体の異常や欠損が原因のことも少なからずありますが、半分程度の割合で「精索静脈瘤」が原因となっています。

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは、精巣の周りに静脈の血が溜まることで瘤ができ、それが精巣機能に悪影響を与えるというものです。

精巣から心臓に戻る静脈の血が逆流することで起きる現象で、精巣の周りの温度が上がり、それにより精巣機能や精液所見が著しく悪くなります。

これが必ず無精子症を引き起こすわけではありませんが、男性不妊患者全体の4割程度が精索静脈瘤といわれており、場合によっては無精子症を引き起こします。

閉塞性無精子症

閉塞性無精子症は、精子をつくる機能や精子自体に異常はないものの、精子の通り道である精細管や精巣上体管などの一部が閉じてしまい精子が出てこられない状態です。

患者によって原因はさまざまですが、精管がうまれつき無い場合や、精巣上体が炎症を引き起こしている場合、精管結紮がされている場合などがあります。

精管結紮は、鼡径(そけい)ヘルニアの手術やパイプカット手術などの処置で、精管が縛られている状態です。

閉塞性の場合、造成機能に問題がなく精子は作られている場合が多いので、妊娠希望の場合は十分可能性があると言えるでしょう。

治療法は?

無精子症の場合、薬剤治療は効果がないことがほとんどです。

多くの場合、「精巣内精子採取術(TESE)」または「顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)」と呼ばれる手術が行われます。

これらはいずれも精巣内から精子を採取し、顕微授精を行います。
先にTESEを行い得られた精子が獲得できた事を確認してから採卵を行うのが一般的となっており、この時得られた精子はなるべく多くのチャンスを作るため複数個のチューブに分けて凍結保存しておきます。

この治療法は、閉塞性の場合に有効とされていますが、非閉塞性の場合にも有効である可能性があります。

少し前までは、治療法がなくAID(非配偶者間人工授精)を行うしかないとされていましたが、最近の研究では、精巣の一部でごくわずかに精子を作っている場合がある事が報告されている事から、精巣内から精子を探し出す事を選択しに加えることを考えるのも一理あると思います。

精巣内精子採取術(TESE)について

精巣を少し切開して中から直接精子を採取する方法です。主に造精機能に問題のない閉塞性無精子症の患者に行われる方法で、正常に精子が作られている場合、基本的に100%の確率で精子を採取することが可能です。

顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)について

MD-TESEとも呼ばれ顕微鏡をつかって精子を探し、採取する方法です。主に造精機能に問題がある非閉塞性無精子症の患者に行われる方法で、射精した精液中には精子が確認できなくても、精巣内では精子がつくられていることがあります。

こちらは精子が精巣内でつくられているか、またそれを見つけて採取することができるかといった要因により成功率が左右されるので、精子を採取できる確率は4割ほどといわれています。

精索静脈瘤手術について

非閉塞性無精子症で精索静脈瘤が原因と考えられる場合、Micro-TESEの手術を受ける前に精索静脈瘤手術を受けることも選択肢に入ってきます。

無精子症の原因となっている精索静脈瘤を取り除くことができれば造精機能が回復し、Micro-TESEの成功率も高くなるケースが多いです。場合によってはMicro-TESE無しで妊娠にいたることもあります。

1年程度、手術後の経過観察が必要なので、時間的な余裕がある場合は検討してみるとよいでしょう。

手術は日帰りでもできる

多くの場合、TESEもMicro-TESEも1泊2日または日帰りで手術が行えます。多くのクリニックで日帰りでの手術を採用しているので、次の日から仕事をすることが可能です。休みの日を利用すれば忙しい方でも手術を行うことが可能です。

Y染色体微小欠失(AZF)検査

造精機能に問題がある場合、手術を受ける前にY染色体微小欠失(AZF)検査」を受けることが推奨されます。

造精機能に問題がある患者は、Y染色体のAZFと呼ばれる領域に欠失があることが多く、その欠失パターンにより症状が違うとされています。検査で欠失パターンを読み取ることによって、手術の成功確率を推定したり、手術が適用可能か判断したりする材料になるのです。

一部の欠失パターンでは手術を行っても精子が回収できないことがあるので、無駄な手術を行わないためにも検査は一度行っておくのがよいでしょう。

考えるだけで痛い手術なので慎重にいきたいですね・・・

まとめ

無精子症といっても原因はさまざまで、原因によって手術の内容も成功確率も変わってきます。技術は日々進歩しており、場合によっては一度の手術で子どもを授かることも可能です。

 
精子の状態は体調によっても変化しますので、
無精子症と診断された場合は特に2,3回精液検査を行うようにしましょう。
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