卵子提供とは、年齢などを理由に自分の卵子で妊娠できない人が他人の卵子を提供してもらうことです。
年齢による妊娠率の低下を考えないでいい事から、メディアで「究極の不妊治療」と取り上げられるほどです。
第三者の卵子を利用することで、遺伝的関係はないものの、子供が欲しい人にとって卵子提供は希望のある選択肢となっています。
ドナーの年齢
卵子を提供してもらう側は、検査を受けてから卵子提供できるか決定されますが、登録申請時に40歳未満であることが必要とされます。
ドナー側には各国によって年齢制限がかけられており、台湾であれば20〜40歳未満、タイやアメリカであれば20〜30歳となっています。
日本の場合は、原則35歳未満となっております。
卵子提供のドナーに年齢制限がかけられている理由に関して、日本人の卵子提供を行っているNPO法人OD-NETでは、「一般的に女性の年齢は妊娠の結果に大きな影響があり、加齢とともに卵の質が低下するから」ということが挙げられています。
日本における卵子提供の状況
現在、日本では親子関係に関連する法令が未整備であることから、卵子提供を行う治療が困難な状況となっています。
ただし、配偶子提供を禁止にする法令が存在しないため、困難ではありますが、卵子提供が絶対にできないというわけでもありません。
このような状況から、日本人で卵子提供の治療を行いたい人は、国内ではなく、法整備の整った国外で卵子提供の治療を行う人が多くいます。
海外で卵子提供を受ける際も、日本人ドナーの卵子提供が受けれることから、台湾を中心に1000件以上行われていると言われています。
費用の負担
卵子を提供するドナーは、カウンセリングや検査、通院にかかる費用は一切かかりません。
ただし、ドナーが費用を一切支払わない分、卵子提供を受ける側はドナーの分も含め支払う必要があります。
また、他にも倫理委員会の審査費用がかかり、1回30万円程度の審査が2〜3回程度実施されます。
審査承認後は、買う実施施設によって異なりますが、体外受精実施の治療費もかかってきます。
卵子提供の流れ
日本における卵子提供の流れを詳しくご紹介いたします。
Step.1 | NPO法人 OD-NETに登録する |
Step.2 | 登録確認 |
Step.3 | マッチング |
Step.4 | 説明・調査 |
Step.5 | カウンセリング |
Step.6 | 最終同意 |
Step.7 | 施設内倫理委員会 |
Step.8 | 承認 |
Step.9 | 実施 |
Step.10 | 結果報告 |
まず、日本で卵子提供を行うためには、NPO法人のOD-NETに登録する必要があります。
NPO法人 OD-NETとは、卵子を提供してくれる女性を募り、不妊専門のクリニックと協力して、卵子提供による体外受精が実施できるように支援する団体です。
NPO法人 OD-NETは、小児科医・不妊専門医・法律家・心理カウンセラーの協力を受けて設立された組織のため、安心して治療を受けることができます。
卵子提供を受ける側には、以下の条件を満たしていないとOD-NETに登録することができません。
- 医師によって、卵子がないと診断された女性
- 女性の年齢は登録申請時40歳未満であること
- 法律上の夫婦関係にあること
また卵子提供を受けるためには、事前にカウンセリングや検査を行う必要があります。
カウンセリングは、ドナーと卵子提供を受ける人の両者が顔を合わせることなく行われ、3回以上のカウンセリングが必要となります。
その後、実施施設医師により、治療に関する説明を受けた上で最終同意を行います。
卵子提供は、倫理委員会による承認が必要になるので、承認され次第各施設で卵子提供の治療の実施になります。
治療結果や倫理委員会による審議結果は、全てNPO法人OD-NETにて保管管理されます。
卵子提供のリスクや今後の課題は?
卵子提供には、流産や早産、大量出血になる可能性がある癒着胎盤などのリスクや、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病のリスクが高くなる場合があると言われてます。
自身の卵子であっても受精卵は異物であるため、ドナー卵子であればより強くその傾向が出るのかもしれませんね・・・
また、日本では卵子の提供に関する法律が整備されておらず、子どもと配偶子提供者間の親子関係やさまざまな権利義務関係を完全に消去することを明確にする法律の整備が急務となっています。
このようなことから、日本においての卵子提供の実施件数は少なく、海外へ渡航して、法整備が整っている国で卵子提供を受けるカップルが多い結果となっています。
また、日本では卵子提供は無償のボランティアであるのに対し、海外では有償であったり、提供を受ける側に年齢制限がないことも卵子提供が盛んに行われている要因であることも考えられます。
とはいえ、海外への渡航費は大きい負担ですので、1日でも早く卵子提供に関する法律を整備することが、日本の課題となっています。