漢方薬ってホントに効くの?
漢方薬というとなんだか胡散臭く感じてしまう人もいると思いますが、漢方薬は実際に医療の現場でも使われている立派な薬です。
最近は漢方薬の効果が見直されてきて、臨床実験によりだんだんと効果の科学的根拠も明らかになってきています。
漢方医学では、問題のある箇所を狙って治療するというのではなく、
体全体の調子を整えることにより、症状の改善を目指します。
例えば不妊原因が排卵障害である場合、
一般的な治療法では、排卵を促す薬剤やホルモン剤を投与する治療が行われるのですが、漢方医学の場合、体の冷えを無くすことによって卵巣機能を回復させることにより排卵を促すことを目指します。
女性不妊の原因として体質や内臓機能の問題が関係していることもありますが、それらにはホルモンバランスの崩れが影響していることが多くあり、それらが下半身の冷えや月経不順などの症状として現れてきます。
これらの要因を取り除くことで、適切な排卵や受精を促し、妊娠しやすい体をつくることを目指すのが漢方薬です。
漢方薬でできること・できないこと
漢方薬は、全ての不妊の原因に対応できるわけではありませんので、まずは医師の診断を受け、どういった原因で妊娠しづらくなっているのか明らかにすることが大切です。
例えば、卵管が詰まり卵子が子宮まで降りてこれない卵管障害や周りの組織との癒着がひどい場合は漢方薬で対応することはできません。
しかし、卵巣のホルモンの機能障害や、原因不明の不妊の場合などは、漢方薬を使って循環を良くすることで改善が期待できます。
あなたに合った漢方薬は?
ホルモンバランスが崩れて妊娠しづらい体になっている場合、体に現れる症状別に、おすすめの漢方薬をご紹介していきます。
●生理不順、生理痛、喉の詰まり感、腹部の張り感●
→温経湯(うんけいと)、柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
これらの症状が見られる場合、肝気鬱結と言い、ストレスによって肝(漢方の用語で、循環、代謝、排泄などをコントロールする役割で、肝臓とは違うものです)が影響を受け、気や血の巡りが悪くなっている可能性が高いです。
なので、気の巡りをよくする柴胡(さいこ)や、血を補う芍薬(しゃくやく)の入ったものが効果的です。
温経湯は月経不順や月経困難症、更年期障害などに効果があり、柴胡疎肝湯には気の巡りを良くしストレスを和らげる効果があると言われています。
他にも逍遙散(しょうようさん)、四逆散(しぎゃくさん)などがおすすめです。
●下半身の冷え●
→桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体内のホルモンバランスが崩れている場合、症状として下半身の冷えが現れることが多く、下半身の血の巡りが悪くなると妊娠を遠ざけてしまいます。
血行をよくして熱のバランスを整える桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)がおすすめです。
他にも当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)などがあります。
●疲れやすく食欲が出ない●
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
体力や気力の低下が不妊に影響していることもあります。
こういった場合、人参の入ったものが効果的です。
漢方薬とともに生活習慣の改善も!
全身の体調を整える漢方薬を使って妊娠しやすい体をつくるには、漢方薬の力だけではなく、生活習慣や食生活の改善、ストレス対策などを行っていくことが大切です。
身の回りに大きなストレスや不摂生が無いかも見直し、漢方薬と日常生活の両方から改善して、妊娠するための力をつけていきましょう。
まずは検査から
今回、症状別におすすめの漢方薬を紹介しましたが、漢方薬は全ての方に同じように効果があるわけではなく、「証」というものが大切になってきます。
「証」とは、体質のようなもので、
- 筋肉質で地色のいい 「実証」タイプ
- やせ型で疲れやすい 「虚証」タイプ
- 二つの中間である 「中間証」タイプ
の3つがあります。
自分で判断することもできますが、証によって効果の大きい漢方薬の種類も変わってきますので、医師に正しく判断してもらうのがおすすめです。
また、基本的に漢方薬は、用法容量を守ったうえで、効果が出るのなら症状が治まるまで服用を続け、効果が出ない、副作用が出るといったことがあれば医師や薬剤師に相談するといったものになります。
病院で処方してもらう場合、医師がその人の症状や証などをみて処方箋を変えるので、必ず医師の指示に従って服用するようにしてください。
